「信頼」を形に ─ 事業終了メーカーの製品を一括受注、生産を完遂した営業部の事例

お客様からの「困った」という声に、どう応えるか。それは営業部にとって常に問われる命題です。今回紹介するのは、あるメーカーさんの事業終了に伴い、約100点の部品を一括で受注し、納期を守って納品まで完遂した事例です。営業部のソブダさんと係長の嶋田さんに、案件の経緯や各部門との連携などについて話を聞きました。

海外経験を経て、営業として活躍

ソブダさんは2004年に技能実習生としてシバサキ製作所へ入社。その後モンゴルの子会社「モン・シバサキ」で約12年間勤務し、2023年に再び日本に戻ってきました。

「現在は営業部に所属し、お客様を担当し、お客様のご要望を伺って、見積もり、提案、試作品のハンドリング等の業務をしています。」

一方、嶋田さんは30年近く在籍するベテラン。生産管理からスタートし、現在は営業部で活躍しています。

きっかけは「海外工場の活用提案」

今回の案件の発端は、タイやモンゴルの工場の生産能力を有効活用したいという提案からでした。嶋田さんはこう振り返ります。

「海外工場の人的資源や設備にもっと活かしたかったので、お取引先様に“何かお困りの案件はありませんか?”と相談したところ、事業終了を予定しているメーカー様があるとお聞きしました。そのメーカーでは数名のメンバーで約10台設備を使って、100点ほどの部品を製造しており、製造の引き継ぎ先を探しているとのことでした。」

画像:㈱東京鋲兼とのタイ合弁会社、STBT(Shibasaki Tokyo Byokane Thailand )

「当社では、同様のニーズに、対応してきた経験が何度となくあります。当社の国内工場と海外工場、協力メーカーの皆さんと取り組めば対応できると思いました。」

多品種・短納期という高いハードル

一括受注した部品は実に約100点。形状や素材もそれぞれで、加工の難易度も高いものもありました。

「図面を確認してゆくだけでももかなりの労力がかかりました」と嶋田。「優先順位をつけて社内や協力会社でできるかどうかを検討し、最終的には全点対応できると判断して見積もりを作成しました」

納期は決まっており、タイトなスケジュールでした。そこで、ソブダさんと共に社内だけでなくタイ工場、さらに協力会社にも関わって頂き、すべてを取りまとめる体制を整えて対応しました。

スピードと連携が鍵に

実際のスケジュールは、3月に見積もりを開始し、5月に受注。すぐに試作評価を始め、10月には本格的に生産が開始されました。

画像:多種多様な形状、材質の部品群。

「社内の生産枠も限られている中で、協力会社お邪魔し、何度も相談を重ねました。スケジュール管理と調整は大変でしたが、営業部だけでなく製造や品質管理や生産管理部門とも連携することで乗り越えることができました」

技術と現場の柔軟さでトラブルを克服

生産中にはいくつかの技術的課題も発生しました。特に印象に残っているのは、極薄素材の追加工に関するトラブルです。

「協力会社から素材が薄すぎて、加工時に変形してしまう状態だったのです。そこで実際に現場に足を運び、その場で材料を掴む力(チャック圧)やチャックの形状を微妙に調整してもらう事で、無事に良品が出るようになりました」

このように、営業部が現場と直接やりとりし、課題を迅速に解決できたことも成功の要因の一つでした。

感謝の言葉が、次の原動力に

今回の案件では、お客様から感謝状をいただくという成果にもつながりました。

「『助かりました』『またお願いします』という言葉をいただけることが、何よりも励みになります。納期や仕様をきちんと守ることで、信頼が生まれると実感しました」とソブダさん。

また、納期が厳しい場面でも、まずは「どうすればできるか」を考え、上司や製造部と連携して解決にあたる姿勢を大切にしているとのことです。

嶋田は「こうした成功事例を他のお客様にも紹介することで、新たな相談も増えてきています。やはり前向きな姿勢が伝わると、自然と声をかけていただけるようになりますね」と語ります。

画像:2025年3月・今回の対応についてお客様より表彰を頂いた。

支え合いながら成長できる環境

営業部としての強みについて尋ねると、ソブダは「人の温かさ」と即答しました。

「私はもともと製造などの仕事をしていて、営業は初めてでした。でも営業部の皆さんが親切に教えてくれて、最初は不安だらけだったのが、だんだん『私もできるかも』と思えるようになりました。お客様や協力会社と接する中で、日々学ぶことができる良い部署だと感じています」

嶋田も「営業の仕事は、製品が立ち上がったときや、お客様に喜んでいただいたときの達成感が格別です」と語ります。

次に向けて、新たなチャレンジを

今回の一括受注の成功を通じて、営業部の信頼と対応力はさらに高まりました。現在も同様の相談が寄せられ、次の案件につながりつつあります。

最後に、今後の目標について伺いました。

「信頼される営業でありたい。そして、新しいお客様との出会いを増やしていきたいです」とソブダ。

「これからも既存のお客様との関係を大切にしながら、新たなニーズに応えられる体制を整えていきたいですね」と嶋田。

お客様にとって“頼れる存在”であり続けるために、営業部の挑戦はこれからも続きます。

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